第6回 コーネリアス『Fantasma』、DAFT PUNK『Homework』
2007/02/01 | タグ:Cornelius DAFT PUNK コーネリアス ダフト・パンク
こちらのコーナーでは、OOPS!編集部員が、〈10年前にリリースされたCD〉をネタに、思い出話をとりとめもなく話していきます。当時流行ったジャンルや時代を飾ったアーティスト、その他もろもろのキーワードを放り込み、雑談ライクにこの10年の音楽シーンをぼんやりと総括&再検証いたします。
原田 最近、俺体臭がすごいんだよねー。なんかわかんないんだけど、常に嫌な臭いがする。
澤田 こないだなんかの雑誌で、辛酸なめ子さんがムードマン夫妻のお宅を訪問するみたいな企画をやっていて。その中で奥さんが、〈これを言うと旦那が怒る〉言葉を3つ紹介していて。そのうちの1つが体臭のことでしたよ。なんでも、朝起きると牛の臭いがするとかひどいこと書いてました(笑)。
原田 俺は朝から晩まで臭いよ。ずっと牛の臭い。
澤田 牛の臭いが好きな女の子って結構いるみたいだから、その辺狙って行ったらいいですよ。いや、もういいからもうはじめましょう。
■Cornelius『Fantasma』
原田 (97年リリースのリストを見ながら)もう2月になっちゃったけど、新年一発目はコーネリアス『Fantasma』にする?
澤田 いきなり大ネタですけど、新作も出たところだし、これで行きましょうか。
原田 俺はこのアルバムはかなり聴いたし思い入れも尋常じゃないくらいある。このアルバムは小山田圭吾がポップスターとして一番輝いていた時期なんじゃないの? 『69/96』から引き継いだ戦略的な虚像的キャラクターと、音楽的成熟度が混ざり合ったタイミングだと思う。
澤田 ここが起点というか、今の路線のスタート地点という気はします。でもポップスターという意味ではどうですかねえ。少なくとも、それ以前に担ってた〈アイドル/おしゃれリーダー〉という記号からはもう降りかけてたんじゃないですか。
原田 そうかぁ? だって、ライナーでブライアン・ウィルソンのコスプレしているよ。ギミックが頂点に達した瞬間じゃないの? アナログ12インチで出た先行シングル“Starfruits Surfrider”は2枚同時にかけないと1曲にならない仕様でギミック満載だったじゃない。その前にレコード・プレイヤーを出したりもしていたけれど。
澤田 あのプレイヤーは買ったんですか?
原田 東京タワーで買った(笑)。当時東京タワーの蝋人形館にマニュエル・ゲッチングとマニ・ノイマイヤーとクラウス・シュルツの蝋人形ができるタイミングで。見たかったから盛岡から東京タワーに電話をして「マニュエル・ゲッチングの蝋人形はもうできましたか?」ってちょくちょく問い合わせてたんだ(笑)。蝋人形は結局見てもよくわからなかったけれど。
澤田 ドイツ人の人形だなあと思うだけですよね。
原田 12インチは2枚同時にかけた?
澤田 この年の夏にターンテーブルを2台買ったんですよね。大学に入った年だったのでデビュー!って感じでノリノリで。で、まず試したのがコーネリアス2枚がけでしたよ。そういえば、2枚ともB面には“Count Five or Six”が入っていたんですが、一方は逆相になってるんです。だから同時にかけると理論的には音が消える。で、音の中に隠されていたメッセージが聴こえてくる……っていう噂があったんですよね。でも実際は音が小さくなるだけで実現不可能なんですよ。あれ本当だったのかなあ。
原田 俺も12インチは買ったけれど、ターンテーブルを2つ持ってないからできなかった。
澤田 『Fantasma』は僕も大好きだし、聴いた回数はコーネリアスの作品の中で一番かもしれない。このアルバムってキラキラしてて、直球で美しい感じがあるじゃないですか。それが、暗黒の高校時代から抜け出した(笑)当時の自分の開放的な気持ちとすごくシンクロしたんですよね。個人的な話ですが。
原田 このアルバムは大作な感じがするんだよ。
澤田 フェイクな感じがあったとはいえ『69/96』だって大作じゃないですか。
原田 その、フェイクかどうかっていうのはやっぱり大事で、先にフェイクであるっていうことを認識してしまうとどうしても言い訳しているように聴こえてきてしまう。
澤田 アルバム1枚を通して1つの作品という感じでしたよね。
原田 じゃあ最新作の『Sensuous』と比較するとどうだろう? 俺はこのアルバムを境に曲が個人的になっていった気がするんだけど。プライベートな内容になっていくというか。その狭間にある作品なんじゃないかと考えている。
澤田 『69/96』もハードディスク・レコーディングで編集しまくった作品だったけど、素材にしていたのは、あくまでバンドのジャム・セッションでしたよね。でも『Fantasma』ではドラムも自分で叩いたりして、ほとんどの制作作業を一人でやってる。いわゆるベック的なシンガー・ソングライターのアルバムというか。
原田 でも音はバンドっぽいじゃん。これ以降と比べると。ドラムの音なんかもずいぶんラウドだよ。それが個とバンドの違いのひとつとして考えるきっかけになるんじゃない?
澤田 それはまだ移行している途中だからじゃないですかね。
原田 個人で作っているんだけれど、バンドっぽい手触りをまだ求めているから抜けきれないんじゃないかな。それが全然悪いとは思っていないんだけれど。
澤田 逆に言うと、それ以降の作品にはバンド的な手触りが無さ過ぎますよね。だから『Fantasma』を振り返った時にそう感じるんじゃないかと。『Sensuous』だって普通の3ピースの音が基本になってる点は一緒なのに、全然バンドっぽくない。しかも、バンドの実体は消えてるのにめちゃくちゃフィジカルっていう。すごいなあと思いますよ、ほんと。






























