第12回 ECD『BIG YOUTH』、Cornershop『When I Was Born For The 7th Time』
2007/12/13 | タグ:Cornershop ECD
こちらのコーナーでは、OOPS!編集部員が、〈10年前にリリースされたCD〉をネタに、思い出話をとりとめもなく話していきます。当時流行ったジャンルや時代を飾ったアーティスト、その他もろもろのキーワードを放り込み、雑談ライクにこの10年の音楽シーンをぼんやりと総括&再検証いたします。
原田 あのさー、最近悩んでいることがあって。
澤田 なんですか、突然。
原田 スーサイドとDAFのどっちを選ぶ?って聞かれたときにどう答えたらいいのかと思って。両方とも2人組だし、方向が違うとはいえ変わり者で無茶苦茶かっこいいじゃんか。
澤田 いや、どっちでもいいですよ。なに言ってんですか。
原田 でもさ、もし丸の内美人OLが「私のことを好きならどっちか選んで」って迫ってきたらどうする? しかも、スーサイド派かDAF派かで俺自身を評価しようとしてんの。「どっちかといえばDAFかなぁ」みたいな曖昧な判断はしたくないしさ。
澤田 ロマンポルシェ。の掟さん以外、そんな判断迫られる人いないですよ! もう与太話はいいからはじめましょう。
■ECD『BIG YOUTH』
原田 じゃあ、ECDの『BIG YOUTH』から。これはジャケがいい。裏ジャケでは、撮影時のオフショットなんだろうけど、寒そうにしている裸のECDが毛布をまとってる。1曲目には、エガルジーの書いたヒップホップの歴史みたいな語りが入ってたよね。
澤田 オリジナルとしては4枚目ですね。歴史的な話をすると、前作の『ホームシック』を出したあとにさんぴんキャンプがあって、その翌年に出たんですよ。このアルバムはさんぴんに来てくれた人に向けて作ったそうです。これはリアルタイムで聴いてました?
原田 97年のベストにいろんな人が選んでいたのを当時雑誌で読んで、気になたからちょっと遅れて買った。エルマロとか、ロック側の人が選んでいた記憶がある。でも、これを聴くことで俺がヒップホップ・コミュニティーにコミットした気分になることはなかったな。
澤田 でも、音的にはメタ・ヒップホップというか。今聴くとその後のECDはさらに逸脱していったから。以降のキャリアを含んで全体を見ると、まだまだバリバリのヒップホップ期という感じですよね。“ECDのロンリーガール”が佐藤由梨という人の同名曲(→ こちらで視聴できます)のフレーズを引用していて、さらにその曲はマーヴィン・ゲイの“Sexual Healing”を元にしている。そういう音の作り方とか、いわゆるヒップホップからははずれてきているけど、それ以降はセオリーがない感じになっていく。
原田 ヒップホップに興味がなかった俺でも、これが逸脱しているから評価されているものなんだろうなということはなんとなくわかったよ。あと、このアルバムが俺にとって、ヒップホップが積み上げられたカルチャーなんだということを教えてくれたきっかけにはなったと思っている。
澤田 “ECDのAfter The Rain”は、MUTE BEATの原曲を45回転にして、その上にラップを乗せているだけなんです。“俺達に明日は無い”も12インチで出てますけど、それに入っているクボタタケシのリミックスも相当変で。
原田 ヒップホップが持っているパンク性を伝えるような感じなんだ。あと、このアルバムで今聴いて驚くのが、K DUB SHINEが参加していることだよね。「Kダボ、Kダボ」ってECDが歌ってる(笑)。
澤田 Kダブの「そうそう、その通り」ってラインもまたいいんですよ。ECDとKダブの組み合わせが、このときはまだ成り立ってたってことですよね。スペシャルサンクスを見ても、大概の日本語ラップの人がいるし。
原田 この曲は加藤ミリヤもカヴァーしてたからね。宇多田ヒカルがライヴで“今夜はブギーバック”をカヴァーすることと、加藤ミリヤが“ロンリーガール”をカヴァーすることは意味としてどのくらい違うのかな?
澤田 加藤ミリヤの場合は、デビューから日本語ヒップホップの名曲をカヴァーするという目的がありますからね。最初がブッダ・ブランドの“人間発電所”だったし。日本のヒップホップで、R&Bシンガーがカヴァーできるという点で選ばれただけじゃないですか。この曲は歌詞が97年っぽいですよね。渋谷の援助交際女子高生たちに捧げた歌っていう。
原田 銀杏BOYZも援助交際の子に向けて歌ったりしてるね。ある時期のECDと峯田和伸って存在が近かったりして。
澤田 あと、この曲は渋谷への思いもありますよね。渋谷のトピックの1つとして援交があって、その現場としての宇田川町、そして、センター街、みたいな。今はそんなロマンを求めている人は居ないですから。
原田 援助交際のメッカだったということか。よく知らないけど、97年の渋谷って、レコードとフィギュアの町ってイメージかな。どちらも、本来はマニアのものだったはずなのに、それが〈おしゃれ〉の笠を着て一般のところまで降りてきたのが凄いと思った。そういう、お洒落さんもECDを聴いてたのかな。
澤田 実際に当時のB-BOYがどう思ってこれを聴いていたのか知りたいですね。B-BOYの多くはここまでは買ってたはずだから、これを聴いて「イエーイ」って人もいたと思うんです。一方で、「なんかよくわかんね」って離れた人も多そうですけどね。あと、このアルバムは、多分一回レコードにプレスして、そこからCDにしていると思うんです。
原田 それをダビングしたものがマスターになってるの?
澤田 おそらく。聴いていると、A面とB面に分かれていて。針が上がる音が聴こえる。確証はないんですけど。なんでそんなことをしたのかが知りたいんですけどね。
ECDの作品を紹介






















