第10回 Primal Scream 『Vanishing Point』、
Fantastic Explosion 『Fantastic Explosion』
2007/07/13 | タグ:Fantastic Explosion Primal Scream ファンタスティック・エクスプロージョン プライマル・スクリーム
こちらのコーナーでは、OOPS!編集部員が、〈10年前にリリースされたCD〉をネタに、思い出話をとりとめもなく話していきます。当時流行ったジャンルや時代を飾ったアーティスト、その他もろもろのキーワードを放り込み、雑談ライクにこの10年の音楽シーンをぼんやりと総括&再検証いたします。
原田 前回の話を引っ張って申し訳ないけど、青森のフェス〈夏の魔物〉に三上寛が出ることが決まったね。プロフィール文にはリスペクトたっぷりに〈青森県を代表するリビングレジェンド〉って書かれてる。いいことだと思うよ、ホントに。
澤田 三上寛はフジロックにも出ますね。苗場食堂みたいですけど。僕も観てこようと思ってます。
原田 出るアーティストがオヤジ向けのみのフェスがあってもいいよね。観客はオーバー・フォーティー限定で、椅子も置き放題でさ。犬も連れ込めるような余裕たっぷりのフェス。
澤田 それ、去年やってたウドー・ミュージック・フェスティバルのことじゃないですか。でもあれはあれで行った人は快適でよかったらしいですけど。今年の告知がないってことはやっぱりもうないんですかね……。
■Primal Scream『Vanishing Point』
原田 じゃあ、今回はプライマル・スクリームの『Vanishing Point』にしよう。当時は、ロック・スター的なボビー・ギレスピーの立ち居振る舞いも含めて憧れられる存在だったと思う。俺みたいにロックを中心に買っていた人は全員聴いてたバンドっていうか。そんでやっていることのふり幅も広いから、〈ダサい〉って評価がなかなか付きにくいバンドだったと思うんだよね。
澤田 カッティング・エッジで、時代をリードするような人たちでしたよね。
原田 この前々作が『Screamadelica』で、その次が『Give Out But Don't Give Up』でしょ。ダンス~ロック回帰ときてこのアルバムがダブだった。アルバムによってコンセプトがあって、やっていることが変わるといつも言われていたよね。それでこの後には、パンキッシュでハードコアなデジロックみたいなことをやった『XTRMNTR』があると。流れを見ると、このアルバムはプライマルのキャリア中では地味な作品という感じがする。
澤田 『Screamadelica』は好きでしたけど、『Give Out But Don't Give Up』は買ってないんです。過去のものを新しくして持ってくる、みたいなことは、当時の日本でも行われていたことでしたよね。って、実は僕は『Vanishing Point』も持ってなくて、エイドリアン・シャーウッドがミックスしたダブ・バージョン『Echo Dek』しか聴いてないんです。
原田 『Echo Dek』は断片集っぽいところがあってそんなに好きじゃなかった。それでも、当時はプライマルに夢中だったから7インチのボックス・セットを買ったし、必至で聴いてたけれど。そのボックスが今邪魔なんだけどね(笑)。とにかく、俺は『Vanishing Point』は好きだし、いいアルバムだと思っているよ。これ以降はほとんど聴いてなくて、興味があったのはここまでという感じ。『XTRMNTR』はヘヴィーすぎた。
澤田 ジャケがサイエンティストのダブ・アルバムのパクリみたいですよね。どうなんですか、今のプライマル・ファンもこのアルバムは聴いているんですか?
原田 んー、わかんない。聴いてなさそうだよね。ダブということと関係しているけど、トータルで暗いから。俺はそこが良かったんだけど。オーガスタス・パブロがピアニカで参加した“Stars”がシングルだったけど、あれもボビーのチルな感覚、ダウナーな感覚が大量投入されているメロウな曲だった。
澤田 キャッチーさが足りなかったんですね。僕は別のシングルは買いました。“If They Move Kill 'Em”ってやつ。
原田 ケヴィン・シールズがリミックスしてたやつだ。〈MBVアーケストラ〉っていうプロジェクト名で。
澤田 今見たら、ミュージックマガジンの97年のロック部門1位はこのアルバムだったんですね。それなりに評価されていたんでしょうけど、10年経ったらなんとなく忘れられているアルバムという感じもありますね。ダブを紹介した、みたいな意味は大きいんじゃないですか?
原田 そう思うよ。エイドリアン・シャーウッドの存在を『Echo Dek』で知った人も沢山いると思うし。あ、でもその前にマッシヴ・アタックがいるか。
澤田 日本でも、UAがダブをやったりしていた。「ダブが新しくてかっこいいものである」という評価をした最初の頃の作品と言ってもいいと思いますよ。ダブ・バブルの功罪どっちの意味もあったと思いますけど。ドラムンベースを取り入れてたら今頃プライマルはなかったかもしれないわけで、そういうはずさないセンスは見えてきますよ。
原田 ボビー・ギレスピーは嗅覚が鋭い人なんだっていうのはわかる。
澤田 マンチェのプライマルと、ロック・スターのプライマルっていう2つの見方があるんじゃないですかね。毎回テーマがあって、いろいろやってますけど、そのやり方がうまい。散漫にもならずに、後々聴いてみると「こんな曲もやってたんだ」って曲が必ず入っている。『Screamadelica』も、後半はブルースになったりしつつ、ジャー・ウォーブルが参加していたりとか。
原田 どれだけ変わっても、最終的なところまでは裏切らないのがいいんじゃないかな。前のアルバムの余韻みたいなものは必ず残すようにしている。それがプライマル印みたいに見えるっていうか。変わったことに対して戸惑うファンがいたとしても、1曲は「この曲はいいよね」って言わせるフックを残しておくような。そこが、〈戦略的だ〉と見る人もいれば、〈人間味を感じる〉と見る人もいる。俺はもちろん、肯定しているんだけど。
澤田 そういえば、このアルバムから、元ストーン・ローゼズのマニがバンドに参加しているんですね。やっぱりマンチェなんですよ、このバンドは。後からケヴィン・シールズも参加するわけだし。マンチェ・ブームのストーリーを更新していくのがこのバンドの役割なんですよ! サマー・オブ・ラブはまだ終わってないんですよ!
原田 んー、なんかそれ大枠で話しすぎてておっさん臭いかも……。





























